6歳上の

VG  クロノ×伊吹

クロノくん成人済み

​またフェラさせてる

 ベッドの上で、クロノは年上の恋人が揺らす、長い髪へと指を絡ませた。毛量も多く、柔らかな髪質は存外触り心地がいい。
 白とも銀とも言い難い、複雑な色の髪は時間や季節などの反射する光によって、その色味を複雑に変える。
 クロノはその変化が、たまらなく好きだった。
 ベッドルームの暖かな間接照明に染まった今、恋人——伊吹の髪は、ほのかな橙へと色を変えている。
 初めてクロノが伊吹を抱いてから、半年ほどが経った頃。多少不本意ではあるものの、伊吹は少しずつ抱かれることにも慣れ、今となっては身長もさほど変わらなくなったクロノと向かい合い、これからすることを前に互いに服を脱がし合っている。
 当時、中学生であったクロノからの告白を「保留」という形はとりつつも、伊吹から答えらしい答えが返ってくることは一度もなかった。
 そして痺れを切らしたクロノが成人した頃、改めて思いを伝えられてから暫く。アンタを抱きたい、と訴えたとき、思いのほかあっさりと了承した伊吹にクロノが驚いたのも記憶に新しい。
 しかし伊吹とて、全く抵抗感がなかったわけではない。
 最初は後孔への刺激にも慣れず、内臓をえぐられるような感覚は不快ですらあった。それが今では徐々に快楽として受け入れることが出来ているのは、喜ぶべきなのか恥ずべきなのか。
 だが、これもクロノが丁寧に、伊吹の身体を中から解していった証左なのかと思うと嬉しくもある。
 などということを、伊吹がクロノ本人に伝えるつもりは、今までもこれからもないのだが。
「……あのさ」
 クロノは伊吹が羽織っていたシャツの、最後のボタンを外し終えて口を開いた。
 シャツが伊吹の肩からスルリと滑り、伊吹の透き通るような、病的な白さが眩しい肌が晒される。クロノは自分で脱がしておきながら、今でもなんとなく見てはいけないものを見ているような気がして、思わず視線を泳がせた。
「なんだ」
 一方。相変わらず、照れる様子も見せない伊吹は淡々とクロノの上着を剥きながら声に応える。
 筋肉もつき、がっしりとし始めたクロノの若々しい青年の身体。伊吹は自分よりも、頭が一つ分以上は小さかった、出会った頃のクロノのことを思い出しては、また少しデカくなったなと感慨深くなる。
 一応は恋人同士だというのに、伊吹から注がれる視線が相変わらず色気のないものであることに、クロノは慣れていたがやはり面白くはない。
 もちろん、伊吹に悪気があるわけではないのは承知の上だが、しかしそれが余計にクロノの柔らかな部分を刺激するのだった。
 それでも——セックスの最中となると、また変わった顔を伊吹は見せるようになっていた。
 関係を持った当初。伊吹は初めて体の内側に異物を受け入れる苦痛に顔をしかめていた。それでも終わった後はクロノに「良かったか」などと聞いて、クロノが照れながらも「まあ」と言えば、伊吹は「そうか」と少し微笑んで、自分が味わった苦痛よりもクロノが己の体で快楽を得れたことに対して安堵した様子を見せていた。
 その顔を見て、クロノは自分が惚れた伊吹コウジという男が、どういう男だったのかを再確認したのである。それと同時に、伊吹にも気持ちがいいと思ってもらえるようになって欲しいと思えた。
 丁寧に前戯をすると、恐らく照れくさいのか、伊吹は怒る。もういい、早く挿れろと。
 しかし、その要求を聞かず、クロノはしつこいほどに伊吹の体に触れ続け、彼が一番心地良さそうにする場所を探っていった。
 乳首を撫でられ、吸われると腰を浮かす癖も。耳に舌を這わすと声が出るところも。前立腺を押すように揉み込むと、射精もせず達してしまう敏感さも。
 クロノはそれらをセックスの度に発見しては、その全てを伊吹に施して、伊吹がトロトロになることを半ば楽しんでもいた。その苦労もあってか、最近では伊吹も苦痛より快楽を得るようになり、素直に乱れてくれるようになっていたのである。
 クロノはそんな変化一つとっても、少しずつ伊吹の中で己が恋人として認識されている気がして、たとえ色気のない視線を時々注がれようと、我慢できるくらいには余裕も持ち始めていた。
 だが、それも伊吹から言わせてみれば、声を出してやるようになった、というよりも、単に声が我慢が出来なくなりつつあっただけなのだが。
 当初、鈍痛と違和感が大半を占めていた頃は、とてもではないが気持ちがいいなどと微塵も思えず、クロノのために受け入れただけに過ぎない。
 伊吹とて抱かれた経験もなく、年上としてリードしてやるにも勝手がわからなかったので、お互い様だと思っているのだが。
 けれど、伊吹が感じている苦痛に、クロノは目敏く気付いた。そして、「どこが良いのか教えて欲しい」などとセックスの前に尋ねられた時は、流石にムードがなさすぎて少し笑ったものだが。
 クロノと伊吹は、そんな紆余曲折を経て、今では恋人の時間を楽しみつつある。伊吹が鼻にかかった甘い声を出して、子供のように「クロノ」と繰り返しこちらを呼んでくる姿を思い返すと、それだけで若いクロノの中心が熱を持ち始めてしまうくらいには、楽しんでいた。
 伊吹は禁欲的でストイックな印象とは裏腹に、性感に溺れると途端に甘えたになるらしく、クロノの理性をいつもかき回す。
 クロノは、そんな伊吹の蠱惑的な一面を知らなかった。そして、そんな伊吹の一面を引出したのは紛れもない自分で、もっと、もっと色んな姿が見たいと思うようになったのは、恋人としての余裕が生まれつつある昨今。
 そもそも、そういうことに興味津々であった中・高生時代、本命であった伊吹に告白をはぐらかされ、思い違いだの、その内後悔するだのと理由づけられては取り合って貰えず、一人で悶々としながら過ごしていた数年を経て、ようやく伊吹とこうして繋がれている現在、やってみたいことや見てみたい姿も少なくないわけで。
 単刀直入に言えば。伊吹の、もっといやらしい姿が見たかった。
 クロノは「ええと」と気まずそうに言葉を濁して、一度咳払いをする。
「い、嫌なら、いいんだけど」
 なにやら慎重な物言いをするクロノに、伊吹はキョトンとした。いまさら、クロノの言う大抵のことを拒むつもりなどない。
 伊吹は抱きたいと告げられ、それに応えてから、この身はクロノに捧げたつもりである。だから苦痛を伴ってでも、クロノに抱かれたことが嫌ではなかった。
 それどころか。
 だが、それをあまり理解していないらしいクロノは、言葉に迷い、やがて伊吹の方をみると少し顔を赤らめて、なんとか言葉にする。
 そんな顔も、伊吹には少し可愛く映った。
「く……口で、やってみてほしいんだけど」
「……くち?」
 口、とはどういう——と少し考えて、伊吹は「ああ……」と、とある一つの解にたどり着く。
「フェラチオか?」
「ブッ」
 オブラートに包み込んだというのに、それすら伊吹の前では無意味となってしまう。クロノは目頭を揉みながら、ごまかしようもなく「……そうだけど」と複雑そうに頷いた。
 もちろん、抱かれることがクロノが初めてだった伊吹には、フェラチオの知識はあっても経験はない。
 そもそも、自ら好んでしてみたいと思うことすら一度たりともなかった。けれど、クロノがそれを望むなら、話は変わってくる。
 伊吹はクロノが肯定したのを見ると、向かい合う恋人の肩を掴み、グッと力を入れて押し倒した。
 艶めかしい、白い肌に浮く腹筋が、伊吹が呼吸をする度に僅かに動いてるのを見上げて「あの」とクロノが言葉に詰まる。
「歯が当たっても文句言うなよ」
 伊吹は長い横髪を耳にかけ、身を屈ませると自分の下で横たわるクロノの耳元に唇を寄せた。

「舐めてやる」

     ◇

 まだなにも触れていないというのに、クロノのペニスは期待からやや頭を擡げていた。伊吹は下着越しに雄の膨らみを揉み、そして顔を押しつける。
 下着に染み着いた柔軟剤の香りと、少し蒸れた雄の匂い。
 伊吹はペニスへ頬ずりをすると、自分を見下ろすクロノを見上げて、どこか挑発的に微笑んだ。
 職場で見せる伊吹の一面とは、相反する淫蕩な微笑。いやらしくて、神秘的で、それでいて美しい。
 下着に指を引っ掛け、今か今かと刺激を求める若い雄を窮屈な布の中から解放してやる。
 いつも伊吹の臍の辺りまで抉り、幾度とない性交の果てに形を覚えさせ、雄に犯されることの快楽を伊吹に一から教え込んだ、愛しい恋人のペニスが目の前に現れる。
 ここまで間近に見たのは、たしかに初めてであった。
 頭髪と同じ色をした恥毛が生え揃い、皮が剥けて血管が浮き立つ、十分な質量を持った性器が伊吹の視線を受けただけでビクンと反応を示す。
 若いな、と伊吹は他人事のように考えた。
 顔を寄せると、そこは清潔に保たれており、匂いは薄い。これなら、あまり抵抗感はないかも知れないと思いながら口を開くと、まず舌を這わせる。
「っあ……」
 腸内とはまた違った、伊吹の濡れた粘膜。
 なぞるように、突き出した舌で竿をなぞっていく、その伊吹の顔がどこか楽しげに見えるのは、クロノの気のせいだろうか。
 伊吹は時折、愛おしげにペニスへキスをすると、やがては敏感な亀頭の方まで顔を近づける。縦に割れた尿道が唾液を滲ませてヒクついていた。
 ここからいつも、濃い子種を吐き出しているのかと伊吹はまじまじと見つめて考える。
 イタズラに、ふぅ、と吐息をかけてみせた。それだけの刺激にクロノのペニスがまた反応して、伊吹は少し笑う。
「……遊ぶなよ」
「悪い。あまり、ないことだから。ついな」
 クロノに恨めしそうに睨まれ、伊吹は素直に謝ると、機嫌をとるように柔らかな唇を亀頭に押し当てた。伊吹の端正な顔が、今、こうして自分の性器にキスをしている。
 その、どこか倒錯的な光景に、クロノの顔は耳まで赤くなった。
 一方、伊吹はそんなことを気にも止めず、暫く唾液を口内で貯めたあと、口を薄く開いてクロノのペニスへゆっくりと滴らせた。
 それは、どんなローションよりも熱い。
 濡れたペニスに、白い指が伸ばされる。根本から、ゆっくりと性感を高めるように、丁寧にペニスを扱き始めた。皺の一つ一つを指先でなぞられ、先端をクリクリと擦られ、気づくとクロノのそこは腹に付きそうなほどに勃起しつつある。
「……クロノ」
 名前を呼ばれ、クロノは施される愛撫にぼんやりとした頭のまま、伊吹の方を見た。
 そこには、髪を耳にかけたまま、口を開いて今にもクロノの起立したペニスを咥えようとしている伊吹の姿があった。
 ——ちゃんと見てろ、と、赤い瞳がクロノに語りかけているような、そんな気がして目が離せない。
 伊吹はクロノと目を合わせながら、少しずつ、舌から亀頭に触れて顔を下ろしていく。
 そこはクロノの手料理を、いつも頬張る場所だった。くだらないことで小競り合いになり、時には悪言を叩く場所でもある。
 クロノ、と名前を呼んで、時には部下に指示をし、ファイト中にユニットの効果を読み上げる場所だった。
 そんな、見慣れた伊吹の口を性器に見立て、クロノのペニスが埋まっていく。
 思ったよりも、破壊力が凄まじい。
 年上の恋人は真っ赤になったクロノの顔を見つめ、猫のように目を細めると、舌の根底を下げてより深くまで咥え込んで見せる。
 亀頭が、伊吹の喉の奥に当たっている。
 ずっぽりと根本まで咥え、赤い恥毛に顔を埋めた伊吹が伏し目がちに、苦しげに鼻呼吸しているのが聞こえるも、それすら興奮材料となってクロノの背筋を這う。
「い……伊吹」
 熱くて、濡れた、伊吹の口腔。
 伊吹はクロノに名前を呼ばれると同時に、ズルズルと唾液をまとわりつかせたペニスから顔を離し、そしてまた深くまで咥える。自ら擬似的なピストン運動を繰り返して、垂れた唾液に濡れた睾丸を揉んだ。
 重い。先日もセックスをしたというのに、しっかり精汁を貯めこんでいそうなクロノの睾丸を、優しく転がしながら射精を促してやる。
 聞くに耐えない下品な音が聞こえた。
 自身の股間に顔を埋め、ペニスに吸い付く端正な顔の恋人。
 クロノは思わず、伊吹の頭を撫でる。
 それはまるで「上手」と褒めるような手つきである。
 伊吹はやや熱に浮かされた顔のまま、クロノを見上げて、ゆっくりとペニスから口を離す。
「……どこに出したい?」
「えっ?」
「口の中とか、顔とか。あるだろ」
 そんな、当然のように「あるだろ」などリクエストを聞かれても。
 クロノは狼狽し、言葉に詰まる。
 しかし、伊吹はクロノを見つめ、答えるまでは再開しないとでも言う風に、硬度を保つ程度に手でゆっくりと扱くのみである。
 既にクロノの若いそこは、もはや限界も近かった。答えないまま快楽に顔をしかめると、伊吹は挑発的に笑う。
「いいのか? このまま手でイっても、オレは構わないが」
 敏感な亀頭を指先で擦られ、睾丸にキスをされる。焦らすように舌先で睾丸の皺を舐めると、伊吹はクロノの尿道を指の腹でトントンとノックした。
 このままでは、本当に手の中で射精してしまう。
 クロノはなんとか耐えながら、己の欲望をさらけ出す羞恥に耐えつつも、口を開いて訴えた。
「……伊吹の……口ん、中……出したい……」
 クロノがなんとかそこまで言うと、聞き届けた伊吹は「よくてきました」と告げて、もはや限界の近いペニスを咥えなおした。
 そして舌で裏筋を擦り、顔を引き上げる際には、ぢゅる、と吸い付かれる。クロノは雄として耐え難い快楽に、無意識で伊吹の後頭部を抑えつけていた。
「ンッ……ぅ、ぐ」
 喉を突かれ、伊吹が苦しげな声を漏らすがクロノは気づかない。
 セックスの時の様に徐々に腰を振り始め、伊吹の喉奥を突く。
 伊吹は気道がふさがれ脳に酸素が十分に行き渡らず苦しいというのに、目の前でうっとりとした表情のクロノに喉を犯されると、すっかり躾られてしまった後孔がヒクついて臍の下が甘く痺れる。
 もはや伊吹はされるがままとなり、クロノは伊吹のほどよく締め付けてくる喉を、一定の間隔で突きながら「伊吹……もう」と掠れた声で訴えた。
 その声で恋人が射精を控えていることを察し、伊吹はギュッと喉を締めてやる。
「っあ……く、っ」
 ビク、とクロノの腰が痙攣したと同時に、青臭い子種が伊吹の喉に強制的に流し込まれていく。鼻から抜ける独特の風味は不快であるのに、触れられていないにも関わらず緩く勃起した伊吹のペニスは下着にうっすらと染みを作り、同時に腰が揺れてしまう。
 クロノの精だと思うと、それだけで伊吹にとっては媚薬のように感じられた。
 目を瞑り、相変わらず量の多い精汁をゴクっと音を立てて飲み干してやると、漸くクロノのペニスから口を離す。
 クロノは達した後の気だるさに肩で息をしながら、口端を拭う伊吹を見つめる。伊吹は何度か咳払いをして、ゆっくりと顔を上げた。
「……満足したか?」
「し、したけど」
 なぜ聞く。あんな風に搾り取られて、満足しないとでも言うと思ったのだろうか。
 クロノは羞恥を押し殺して頷くと、「よかった」と伊吹はなんでもないように言って、少し笑った。
 その笑みがまた、どこか安心した様子で、クロノは思わず胸がぎゅっと締め付けられる。
 伊吹は思ったよりも献身的なところがあり、そこがまたクロノをダメにさせた。
 それにしても——クロノとて、伊吹にも経験はないだろうと踏んで、期待はしていなかったのに。
 下手でもいいから、見てみたかった。結局、こうもあっさりイかされているのだが。
 あんなフェラチオを経験しては、だんだんと本当に初めてなのかどうかが疑わしくなってくる。どこか超人じみた要領のよさを持つ伊吹にとって、あれくらいのことは造作もないのかもしれないが。
 クロノは歳の差故の、不安を抱えずにはいられない。伊吹があまり自分のことを語る男ではないため、尚更に。
 こういった独占欲も、ガキと言われる要因なのかも知れないと遠い目になるが、それでも心配せずにはいられなかった。伊吹はそもそも、その恵まれた容姿故にどこにいても目立つ。買い物に行くだけで女性から視線を送られ、遠巻きに騒がれるほどには。
 この存外真面目で義理堅い男が浮気をするなど考えたこともなく、クロノはそれなりに伊吹から好意を向けられている自覚すらあったが、不安なものはしょうがない。
 ——などと上の空になっているところに、伊吹がどこか不満げな視線を送っていることを、クロノは気づけなかった。
 せっかく、伊吹なりにクロノの好きそうな場所を刺激して、満足させてやったのに。なぜ肩を落としているのか。
 伊吹は自ら下着を取り払うと、ムスッとした顔のまま、目の前のクロノの肩を押してのし掛かる。
「ちょ、おい」
「なんだ、不満だったか」
 いつもは伊吹がされるがままになってやっている状態だが、力の差で言えば今も伊吹の方が断然上回っている。クロノは成長しても敵わない力の差に複雑な顔をしたが、伊吹が退く気配はない。
 クロノの体を跨ぎ、達した後で少し萎えているペニスを後ろ手に緩く扱くと、伊吹はまた顔を近づけて不機嫌な様子で告げた。
「目の前のオレだけ見てろ」
 本当の美形にしか許されないことを、本当の美形に口にされたクロノの心臓が妙なリズムで高鳴る。
 クロノが訪れる前に行った洗浄の際、既に慣らしておいた伊吹の後孔には自ら小振りなアナルプラグを咥え込ませている。伊吹はそれを指で挟むと、少し力んで抜いて見せた。しかめた顔が、色っぽい。
 抜けたプラグがローションの糸を引いたあと、シーツに転がる。
 クロノの惚けた顔が自分の方に向いていることに満足し、伊吹は乾いた唇を舐めると臀部を広げ、腰を下ろした。
 亀頭が、期待して開いている後孔を押し上げる。
「あっ……ひ、ぅ……」
 考え事をしてやや萎えていたはずのクロノのそこはすっかりと硬度を取り戻していたが、血管の浮くペニスはとてもではないが優に挿入が出来るほどの大きさとは言い難い。口から息を吐き、鼻から吸って、ゆっくりと少しずつ、自ら犯されに行く伊吹を前にクロノは耳まで顔を赤くさせた。
 ——人の気も知らないで。
 八つ当たりであることくらい、分かっている。しかし、この美しく、時に淫らで、精悍な年上の恋人を見ているとあらゆること心配せずにはいられない。
 クロノは伊吹の腰を掴むと、そのまま下から、やや強引に中を開かせるように抉った。
 前立腺が圧迫され、伊吹がもっとも弱い奥の熟れた壁を突かれると目を見開く。
「っ……いちいち、エロいんだよ、お前は!」
 擦られた肉ヒダが歓喜するように、胎内のクロノのペニスを締め付け、肉輪がぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
 伊吹は口を手で抑える暇もなく、突き上げられながら支えきれなくなった上体を思わず倒した。
 するとクロノに頬を撫でられ、キスをしようと顔を近づけられる。
 しかし、フェラチオをした後である。
 そういった細かいところを気にかける伊吹は身体を引いてキスを拒もうとするも、クロノはそれを許してくれない。
 後から後頭部を抑えつけられ、口内を貪られる。
「……すっげー青臭い」
「っぁ、あっ……やっ、ぅ……おまえ、の……っ……だ、ろ……ッ!」
 腰を密着させたまま下から突かれ、もはや雄としての機能をほとんど果たせていないペニスを揺らしながら伊吹が抗議した。
 赤い目が、クロノをキッと睨みつける。
 伊吹の魅力に気づく者は、そこら中にいるのは分かっている。けれど——この顔が拝めるのは自分くらいだろう。
 クロノは目を細め、やや重い伊吹の身体を抱き寄せると懲りずに再びキスをして微笑む。
 伊吹が手を突っぱね、首を横に振って嫌がろうと、クロノは腕の中の彼に自分の匂いが染み着くまで、離すつもりはなかった。
 次は何を、してもらおう。

© 殴打